アンティーク時計の「アンティークの定義」は、各団体・出版物によって違います。ある団体ではこのように定義している・ある本ではこのように定義しているといった違いがあります。
その理由は「アンティーク」という言葉の定義と、時計が持っている特性がその定義に当てはまりづらいことが挙げられます。
一般的なアンティークの定義
一般的な意味で「アンティーク」という言葉が使われるのは、製造後100年を経過したものに限られますが、時計の場合、ごく一部の人たちが使っていた時代から、一般に普及し、そしてデジタル化されるに至るまで、あまりに急激に技術が進歩し変化したため、「100年」という定義を当てはめた場合、現在残っているもので動く時計となると、そのほとんどが「アンティーク」という定義に当てはまらなくなってしまいます。
またアンティークとしてよく取り扱われる、ジュエリー・陶器・家具などのように、年月の経過によって劣化が起こりにくい・影響を受けにくいものと違って、時計の場合は金属の部品で構成されているため、管理やケアがなされていない場合は比較的劣化するのが早く、これらのアンティークとは違った特性を持っています。
そのため、一般的な「アンティーク」の定義を当てはめることは適当ではないと当協会は考えます。
当協会の考えるアンティークの定義
以前からこの話題が取り上げられる場合、愛好家・団体では、「デジタル時計が現れるまでの時代の機械式時計」 「1950年代・1960年代までの機械式時計」という基準が一般的だとされていました。
ただこの基準を用いた場合、「アンティーク」という意味合いでは、100年後にもデジタル時計は「アンティーク時計」として認められないことになり、アンティークという本来の意味にすらそぐわなくなります。
そこで当協会としては、2010年から考えデジタル時計が普及し始めた頃・半世紀というわかりやすさからも約50年前を一区切りとしてアンティークとして考えるのが良いのではないかと提案しています。
100年ほど前に作られた1ドルで販売された時計ですら、年月の流れとともにアンティークとしての価値を持ち、ゲーム機器のファミリーコンピューターでさえ、現在では価値のあるものとして認められているほどですから、デジタル時計といえども、その価値を認めないわけにはいきません。
よって、当協会ではデジタル時計も含めて、50年前を「時計のアンティーク」として定義します。