アンティーク時計の場合は特にですが、修理やオーバーホールの際に、風防を外すことはありません。
作業をするに当たって、風防がしっかり留まっているかどうかの確認はするものですが、しっかりと留まっている場合には、外して付け直すということはしないものです。
修理から戻ってきて外れることがあるのは、作業が関係している可能性もありますが、下記の理由からほとんど触ることが無い箇所になりますので、たまたま接着が外れてしまったと考えるべきものです。
アンティーク時計の場合、古い時計の場合は特にですが、なぜ作業時に風防を外さないのか?
それは、外観からは割れもヒビもない完全に見える風防であっても、長い年月によって、劣化が起きている可能性があるためです。
プラスチックの場合は言うに及ばず、ガラスにも劣化が起り、すでに割れていながらも、割れていることが外観からではわからない状態になっていることがよくあります。
接着剤の剥離液に浸けるとヒビが見えるようになったり、取り外しの際に接着部分を外してみたら、ガラスがふちのあたりからボロボロと崩れる、ふちのあたりに欠けが入っているということは非常によくあることです。
上記のような理由から、風防を外して付け直すだけの作業とは言えども、接着を剥がすだけでも非常に大きなリスクを伴います。
ただの丸い風防であっても、ドーム状のわずかな形の違いや高さの違いがあり、特殊な形のガラスになると、割れてしまうと制作するために数万円と費用のかかってしまうものもあります。
「外した時に割れたのではないか?」、「依頼してもいないのに外して割れたのなら、修理側が費用を払うべきだ」など、元々割れていたものにも関わらず、依頼される方とのトラブルの原因ともなりやすいため、修理やオーバーホールの際には、風防は外す必要が無ければ外さないのが一般的です。
そのため、風防が外れてしまったのは、外れるべくして外れてしまったと考えるべきです。